p.20
自分には、この人間関係しかないとか、この場所しかないとか、この仕事しかないとかそう思い込んでしまったら、たとえ、ひどい目にあわされても、そこから逃げるという発想をもてない。
これ、すごく納得できた。
ここしかない!と思ったら、どんな状況になっても、耐えようとする人が多いよなーって。
だから、心の病にかかってしまったり、自らの命を殺めてしまったり。
自分で苦しいって思えないくらい麻痺してることもあると思うの。
無意識のうちに、自分の本当の状況を把握できなくて、楽しいんだって思い込んでることもある。
そして、その苦しみに気がつかず、突然暗闇に落ちてしまう。
逆に、自分が苦しんでいると気がついたとき、良い方にもっていけるか、悪い方へ向かってしまうか…
自分で気づくことができれば、それが最良だとは思うけど、気づかせてあげられる人が、1人でもいたら、いいんだろうなあと思う。
p.225
本当にあったことでも、いずれはそれは記憶の中で、曖昧になってゆくだろう。本当かどうかなんて、どうでもいい気がした。そういう記憶をまといながら、どこへ行くのかわからないけれども、オレはゆるやかに変化してゆくのだ。
本当にあったことなのかなって、時間が経つにつれて、曖昧になっていく。
それが、人間の脳の良いところでもあり、悪いところでもある。
ありがたいことに、人間の脳は悪いことを忘れやすいという特徴がある。
しかし、良いことだって、もちろん忘れてしまう。
ずーーーっと覚えていたい!と思っても、ずーーーっとなんて覚えていられない。
断片的に覚えていても、すべてを鮮明に、ずーーーっと覚えておくなんて、凡人には不可能なんだと思う。
だから、わたしはこうして記録をとっているわけなんだけども。
ただ、本当にあったという事実は消えなくて、良くも悪くも必ず自分に変化をもたらす。
すぐには変わらなくても、ゆっくり色々な出来事を積み重ねながら。
久々に会う友だちに、変わってないね!とか変わらないね!って言われても、きっと大きく変わってない大枠の中は、少し変わっているのだと思う。
p.232
「夕べのカレー」
一樹とテツコの出会い。
まさか、こんなに前に会っていたとは。
そして、ここで「夕べのカレー」が出てくるとは。
さらに「明日のパン」もここで出てくるとは。
読み進めながら、どこでタイトルの意味がわかるんだろうって思ってた。
最後の最後で、わかるとは。
ただ、ひとつ気になることがあって、タイトルは「昨夜のカレー」。でも、物語の中では「夕べのカレー」。これって、何か意味があるのかなあ…?